2024.11.22 COLUMN
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LEDデスクライトと蛍光灯における多重影・フリッカーの仕組みと対策

デスクライト選びにおいて、「多重影」と「フリッカー(ちらつき)」は、作業効率や目の健康に大きな影響を与える重要なポイントです。
本記事では、LEDデスクライトと蛍光灯それぞれの特性を比較しながら、これらの現象の原因と対策について詳しく解説します。

AC(交流)をDC(直流)に変換する仕組み

LEDデスクスタンドは直流(DC)で動作するため、家庭用電源の交流(AC)を直流に変換する装置が必要です。
この変換は以下のプロセスで行われます。

整流(Rectification)

ACの波形(プラスとマイナスが交互に流れる)を、一方向の流れに変えます。
ダイオードブリッジと呼ばれる回路を使い、マイナスの波形をプラス側にひっくり返します。
この時点ではまだ「脈流」と呼ばれるギザギザの波形が残っています。

平滑化(Smoothing)

コンデンサという部品を使い、脈流のギザギザを滑らかにします。
コンデンサは電気を一時的に蓄える性質があり、波形のギザギザ部分を埋めて、安定した電圧に近づけます。

電圧調整(Regulation)

レギュレーター回路によって、一定の直流電圧を維持します。
これにより、LEDが安定した電力を受け取り、ちらつきのない光を放つことができます。

実際のイメージ

家庭用AC(サイン波) → 整流(波形が一方向) → 平滑化(滑らかに) → レギュレーション(一定の直流へ)

フリッカー(ちらつき)の発生原因

フリッカーとは?

LEDデスクライトの光が高速で明滅する現象を指します。
一般的に、フリッカーは肉眼では見えないレベルで発生しますが、脳や目はその明滅を感知しており、長時間使用すると目の疲労や不快感につながる場合があります。

LEDでフリッカーが発生する原因

不安定な交流電流

家庭用ACは一定の波形を持つものの、波形そのものが変化するため、そのままではLEDに安定した光を供給できません。

低品質なAC-DCコンバータ

安価な製品では、整流・平滑化の工程が不十分なため、リップル(波形のギザギザ)が残り、フリッカーが発生しやすくなります。

PWM(パルス幅変調)の周波数不足

調光機能付きLEDラデスクライトでは、PWM制御によって明るさを調整します。
この際、周波数が低いとちらつきが発生します。

蛍光灯でフリッカーが発生する原因

従来型蛍光灯(ラピッドスタート方式)

50Hzまたは60Hzの交流電源をそのまま使うため、電流の変動に伴って蛍光管が明滅します。
これが低周波フリッカーの原因です。

電子安定器(インバータ方式)

高周波点灯方式では、電流の周波数を20kHz以上に引き上げるため、フリッカーはほぼゼロになります。

フリッカーの人体への影響

目の疲労感
長時間使用すると、無意識に目が負担を感じるため、疲れやすくなります。
頭痛や肩こり
フリッカーを補正しようと脳が過剰に働くことで、体調不良を引き起こす場合があります。
集中力の低下
学習や仕事中の注意力を散漫にさせる可能性があります。

多重影とその原因

多重影とは?

多重影は、光源から物体に投影される影が複数重なる現象を指します。
LEDデスクスタンドと蛍光灯では、この現象の発生レベルが異なります。

LEDデスクライトにおける多重影の原因

光源の指向性と配置

LEDは基本的に真下方向への強い指向性を持ちますが、複数のLEDが異なる位置や角度で配置されている場合、それぞれが異なる方向に影を作り出します。

拡散パネルの有無

拡散パネルがない、または品質が低い場合、光が均一に広がらず、多重影が目立ちます。

蛍光灯における多重影の発生しにくさ

面光源の特性

蛍光灯は蛍光物質全体が光る「面光源」であり、広い範囲から光が発せられるため、影が柔らかく、重なりにくいです。

光の拡散性が高い

光が均一に広がるため、影がぼやけ、単一の影として見えることが多いです。

光源が一つで安定

蛍光灯の光源は一本のランプのみで、LEDのように複数の光源が重なることがありません。

多重影の影響

精密作業時に文字や細かい部分が見えにくくなり、作業効率が低下します。
影の複雑さが視覚的ノイズとなり、目に負担をかけます。

多重影の対策

拡散パネル付きの製品を選ぶ

光を均一に広げる機能がある製品を選ぶことで、多重影を抑えられます。

高品質な設計のLEDライトを選ぶ

光学的な設計がしっかりしている製品では、多重影が目立ちにくいです。

蛍光灯型デスクライトを選ぶ

影が柔らかく、重なりにくい面光源の蛍光灯タイプを検討する。

安価な製品におけるリスク

安価なデスクライトでは、次のような問題が起こりやすくなります。

ドライバの品質が低い
整流・平滑化が不十分で、フリッカーやリップルが発生します。
拡散パネルやレンズの省略
影や光のばらつきが多く、見え方が不均一になります。
寿命が短い
部品の劣化が早く、結果的にコストパフォーマンスが悪くなる可能性があります。

また、長時間使用することで目や脳、さらには全身に悪影響を及ぼす可能性があります。

まとめ

蛍光灯は光源が「面光源」であり、光の拡散性が高いことから多重影が出にくい設計となっています。
一方、LEDは「点光源」の特性から多重影が発生しやすいですが、高品質な製品では拡散技術の進化により、多重影を抑えた製品が増えています。
どちらを選ぶにしても、使用目的や作業環境に応じた光源の選定が重要です。