2025.02.21 COLUMN
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PC用デスクライトの選び方とおすすめポイント:目に優しく快適な作業環境を作るために

PC作業を快適にするためには、適切なデスクライト選びが欠かせません。
長時間の作業で目の疲れを軽減し、効率を高めるためには、光の質や設置方法にこだわる必要があります。
本記事では、PC用デスクライトの選び方やポイントを詳しく解説します。

PC用デスクライトの重要性

目の疲れやドライアイ

PCの画面は自発光しているため、周囲との明るさの差が大きいと目が疲れやすくなります。
例えば、暗い部屋でPCを使うと、画面の明るさが目に直接入り、瞳孔が頻繁に調整を繰り返すため、長時間の作業で目が乾きやすくなります。

特に、部屋の照明が暗すぎると、瞬きの回数が減少し、涙の蒸発が促進されるため、ドライアイの原因になります。

肩こりや姿勢の悪化

照明が適切でないと、PCの画面が見づらくなり、無意識に前のめりになったり、顔を傾けたりすることがあります。
このような姿勢が続くと、首や肩の筋肉に過剰な負荷がかかり、肩こりや首の痛みを引き起こします。

特に、デスク上の照明が弱いと、手元が暗くなり、書類を読む際にさらに前傾姿勢になりやすくなります。

作業効率の低下

照明が暗い環境では、視覚的な情報を脳が処理するのに余分なエネルギーが必要になり、集中力が低下します。

例えば、暗い部屋でPC作業をしていると、目が無意識にピント調整を繰り返すため、作業に集中しづらくなります。
結果として、作業速度が落ちたり、ミスが増えたりすることがあります。

また、夜間に青白い強い光を浴びると、体内時計が乱れて睡眠の質が低下し、翌日の作業効率にも悪影響を与えます。

PC用デスクライトの選び方

演色性(カラー・レンダリング:Ra)

演色性(Ra)は、光源がどれだけ自然光に近い色を再現できるかを示す指標です。
演色性が低いと、物の色が実際とは異なって見えることがあります。

例えば、赤いものを見たとき、本来の色よりもオレンジがかって見えたり、くすんで見えたりすることがあります。
Ra値が高い光源を使用すると、昼間の太陽光の下で見たときとほぼ同じ色を再現できます。

演色性の目安

Ra95以上のライト:色の忠実度が高く、イラスト・デザイン・精密作業に適している
Ra80以下のライト:色がくすんで見えやすく、正確な色認識が求められる作業には不向き

特に、デスクライトや作業用照明を選ぶ際には、Ra85以上を推奨し、より精密な色再現が必要な場合はRa92以上を選択するのが理想的です。

ただし、単に演色性の数字で選ぶのは危険です!
詳しくは、照明士が教える演色性(Ra)の真実をご覧ください。
↓ ↓ ↓
デスクライトの演色性とは?意味を知って正しい選び方を

色温度(ケルビン:K)

デスクライトの色温度(ケルビン値)は、作業環境に大きく影響を与えます。
適切な色温度を選ぶことで、目の負担を減らし、作業効率を向上させることができます。

昼光色(6,000K前後):集中力を高め、作業効率UP

昼光色の特長
太陽光の明るい時間帯(昼間)に近い、青白い光
覚醒効果があり、集中力を高める
文字がくっきり見えやすい

PC作業への影響
おすすめの作業:プログラミング、データ分析、文章作成、受験勉強
目が冴えるため、眠気を防ぎたい朝や日中の作業に最適
青みが強いため、長時間の作業ではやや疲れを感じることもある

おすすめシチュエーション
仕事や勉強の集中力を高めたいとき
デスクワークで細かい文字を読むことが多いとき
日中のオフィスや勉強部屋での使用

昼白色(5,000K前後):自然光に近く、目に優しい

昼白色の特長
曇りの日の屋外光に近い、白っぽい光
色の再現性が高く、自然な見え方
目に優しく、長時間の作業でも疲れにくい

PC作業への影響
おすすめの作業:デザイン作業、ライティング、オンライン会議
バランスの取れた光なので、目の疲れを抑えながら作業効率を維持できる
長時間のPC作業に適しており、仕事用デスクライトの標準的な選択肢

おすすめシチュエーション
在宅ワークで1日中PC作業をする場合
クリエイティブ作業(イラスト・写真編集・デザイン)
目の疲れを軽減しながら、程よい明るさで作業したい場合

電球色(3,000K前後):リラックス向きでPC作業には不向き

電球色の特長
暖かみのあるオレンジ系の光
副交感神経を刺激し、リラックス効果がある
白熱電球のような落ち着いた雰囲気

PC作業への影響
おすすめの作業:読書、リラックスしながらの動画鑑賞
青白い光のPC画面とのコントラストが大きくなり、目が疲れやすい
作業には適していないが、夜のリラックスタイムには最適

おすすめシチュエーション
寝る前の読書や間接照明として使用
リラックスしながら音楽を聴いたり、映画を観るとき
作業後のリラックススペースとしての活用

PC作業向けのベストな色温度は?

日中の仕事・勉強なら:6,000K(昼光色)
長時間のPC作業なら:5,000K(昼白色)

特に、昼白色(5,000K)は自然光に近く、長時間の作業でも疲れにくいため、PC作業用デスクライトとして最もおすすめです。

照度(ルクス:lx)

ルクス(lx)は、光源からどれくらいの明るさが実際に照射されているかを示す単位です。
同じ光源でも、光の拡がり方や距離によって、手元の明るさ(照度)は変わります。

例えば、デスクライトの明るさを考えるとき、どれだけの照度が確保されているかが作業のしやすさに大きく影響します。

日本産業規格(JIS)Z 9110

JIS Z 9110 は、照明基準 に関する日本産業規格(JIS)の規格で、オフィスや学校、工場、住宅などの適切な照明環境を確保するための基準を定めています。

JIS基準では次のような最低照度が推奨されています。
一般的な事務作業(PC作業や読書):750ルクス以上
精密な作業(設計・製図など):1,500ルクス以上
リビングなどのくつろぎ空間:150~300ルクス

事務所衛生基準規則・労働安全衛生規則における照明基準

日本の労働環境における安全性や快適性を確保するための最低基準を定めています。
第10条(照明及び採光)
事務所における照明設備は、労働者の視作業に適するよう適切に配置し、次の基準を満たすこと。

事務所の照度基準
一般的な事務作業(PC作業・書類作業など):300ルクス以上
精密な作業(製図・設計など):750ルクス以上
通路などの一般エリア:100ルクス以上

最低限 300ルクス以上 が必要。
ただし、目の疲れを防ぐため 500ルクス以上が推奨されることが多い。
JIS Z 9110の基準(750ルクス以上推奨)とは異なり、最低ラインの基準が示されています。

デスクライトの「明るさ」とは?S/P比で考える本当の視認性

デスクライトを選ぶとき、多くの人が「明るさ=ルクス(lx)」に注目します。
しかし、実際に感じる明るさはルクスだけでは決まりません。
既出の「色温度」や「S/P比」と呼ばれる数値も影響するのです。

照度の数値が高いのに暗く感じる?

LEDデスクライトには、「スタディモード」や「リラックスモード」などの調色機能があります。
たとえば、測定機器で照度(ルクス)を測ると、以下のような結果が出ることがあります。
スタディモード:1,000ルクス
リラックスモード:2,000ルクス

この数値だけを見ると、「リラックスモードの方が明るい」と思うかもしれません。
しかし、実際に使ってみると、スタディモードの方が明るく感じられることが多いのです。
なぜでしょうか?

その答えは、人の目の感度にあります。
私たちの目は、明るい環境では 555nm付近(黄緑色)の光 に最も敏感です。
そのため、同じルクスでも、この波長の光を多く含む光のほうが「明るい」と感じやすいのです。

視認性に影響するもう一つの指標S/P比とは?

ここで重要になるのが「S/P比」という数値です。
S/P比とは、光源の波長特性によって、暗い環境での視認性がどれくらい高まるか を示す指標です。
この値が高いほど、同じルクスでも「暗い場所でより明るく見える」特性を持ちます。

例えば、
スタディモードや読書モード:S/P比が高く、視認性が向上
リラックスモードやナイトモード:S/P比が低く、落ち着いた光

つまり、スタディモードの光はS/P比が高いため、より効率的に対象物を視認できるのです。
逆に、リラックスモードの光はS/P比が低く、優しい光で目を休めるのに適しています。

光束(ルーメン:lm)

ルーメン(lm)は、光源が発する光の総量(光のパワー)を示す単位です。
ルーメンの数値が高いほど、光源全体の明るさが強くなります。

ただし、ルーメンが高くても、光の広がり方によって手元の明るさ(照度)は変わるため、用途に応じた適切な光の拡散性を考慮することが重要です。

ルーメンの目安

500ルーメン:一般的なデスクライトの明るさ
1000ルーメン:部屋全体を照らせるほどの明るさ
3000ルーメン以上:屋外用ライトやスポットライトのような高出力

デスクライトを選ぶ際は、単にルーメンの数値を見るだけでなく、光の広がり方(配光特性)や照度とのバランスを考慮することが大切です。

デスク全体の明るさを均一に保ち、端と中央で明るさの差が生じないようにすることが重要です。
明るさのムラを抑えることで、視作業の負担を軽減し、快適な作業環境を整えられます。
そのため、デスクライト単体ではなく、天井照明との組み合わせを推奨します。

光度(カンデラ:cd)

光源が特定の方向にどれだけの強さで光を発しているかを示す単位です。
簡単に言えば、「光のまぶしさ(指向性の強さ)」を測る指標ともいえます。

カンデラが高いデスクライトの特長

スポットライトのように光が狭い範囲に強く当たるので、直下は明るくなりますが、周囲が暗くなるため、目が疲れやすいです。

適している用途

精密作業などで、ピンポイントに明るさが必要な場面
壁や天井に光を反射させて、間接照明として活用する場面

カンデラが低いデスクライトの特長

光が分散されてデスク全体をやわらかく照らすため、長時間の作業でも目の負担が少ないです。

適している用途

PC作業や一般的なデスクワーク、読書
光のムラを減らしたい環境

PC作業においては、長時間の画面注視による目の負担を考慮する必要があるため、カンデラが高すぎる照明は適していません
光が一点に集中するタイプではなく、均一に広がる拡散光のデスクライトを選ぶことで、快適な作業環境を整えることができます。

労働衛生基準の詳細はこちら
↓ ↓ ↓
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000905329.pdf

デスクライト選びで重要なその他のポイント

まぶしさ(グレア)

グレアとは、視界に強すぎる光が入ることで、不快感や視作業の妨げになる現象を指します。

まぶしすぎる光の例

晴れた日に太陽を直視すると、強い光で目がくらむ
夜間、対向車のヘッドライトが目に入ると、視界が見えにくくなる
光が壁や机に反射し、強い照り返しが生じる

デスクライトでグレアがあると、目の疲れやチラつきが発生し、文字が見えにくくなったり、頭痛を引き起こすこともあります。

グレアを軽減するためのポイント

光が直接目に入らない設計のライトを選ぶ
拡散カバー付きのライトを使用し、光をやわらかく広げる
ライトの角度を調整し、光の反射を防ぐ

快適な作業環境を整えるためには、グレアの少ない照明を選ぶことが重要です。

ちらつき(フリッカー)

フリッカーとは、光が高速で点滅することで、目の疲れや不快感を引き起こす現象です。
多くの場合、人の目では直接確認できませんが、長時間見続けることで影響を受けることがあります。

ちらつく光の例

古い蛍光灯がチカチカするのを見たことがある人も多いのでは?
扇風機の羽をじっと見ていると、スローで動いて見えたり、止まって見えたりすることがある

実は、LEDライトなどの光源も、高速で点滅していることがあり、目には見えなくても影響を与えることがあります。

デスクライトにフリッカーがあると…

長時間の使用で目が疲れやすくなる
頭痛や気分の悪さを感じることがある
勉強や作業に集中しづらくなる

フリッカーを防ぐためのポイント

ちらつきの少ないLEDライトを選ぶ
価格だけの安価なデスクライトに手を出さない
安定した光を出せる品質の高いライトを選ぶ

快適な作業環境を作るためには、目に見えないフリッカーにも注意し、適切な照明を選ぶことが重要です。

多重影(ダブルシャドウ)

光の配置や特性によって影が複数できる現象です。
影がズレたり、重なったりすることで、視認性が低下し、作業効率にも影響を及ぼします。

複数の光源からの照射

天井照明とデスクライトの併用により異なる角度からの光が当たり、それぞれの影ができます。

対処法としては、メインの光源を統一して適切な配置を考えたり、影が発生しにくい拡散光(面発光)タイプの照明を使用しましょう。

LEDの点光源による影の重なり

LEDデスクライトは小さな点光源の集合体のため、それぞれの光が異なる方向に向かい、影が重なります。

対処法としては、面発光タイプのLED照明を使用したり、拡散カバーがついたデスクライトを選ぶことで影を滑らかにします。

蛍光灯・直管LEDの配置と角度

発光部分が長く、光が均等に広がらないと影が二重になります。

対処法としては、光源を広い範囲で拡散させて影を小さくするデスクライトの選択、高さや角度を調整して光を均一に当てましょう。

デスクライトの設置方法:クランプ式 vs. スタンド式の特徴と選び方

デスクライトには「クランプ式(アームライト)」と「スタンド式」の2つの設置方法があります。
どちらがご自身の作業環境に適しているかを見極めましょう。

クランプ式(アームライト)の特長

デスクの天板にクランプ(挟み込み)で固定するタイプ
アーム(可動部分)があるため、角度や高さを自由に調整できる
デスク上のスペースを占有しないため、作業エリアを広く使える

クランプ式(アームライト)のメリット

デスクスペースを有効活用できる

ライトの台座がないため、デスク上をスッキリ広く使える。

光の位置を自由に調整可能

アームを上下・左右に動かせるため、作業内容に合わせて光の向きを簡単に変えられる。

長時間作業でも快適

角度を調整することで、直接目に光が入らないようにできるため、まぶしさを防ぎ目の負担を軽減できる。

モニターアームやPC周辺機器との相性が良い

デュアルモニター環境や、狭いデスク環境にも適しているため、リモートワークやゲーミング環境にも最適。

クランプ式の注意点

クランプの取り付けには、デスクの厚さや形状の確認が必要(天板が極端に薄い・湾曲していると設置できない場合がある)。
設置したまま移動はできないため、頻繁にライトの位置を変える人には向かない。

スタンド式デスクライトの特長

台座(スタンド)が付いているタイプで、デスクの上に置くだけで使える
設置が簡単で、移動が自由(クランプ固定のような制約がない)
一般的にデスクの端に置いて光を照らすスタイルが多い

スタンド式デスクライトのメリット

設置が簡単でどこでも使える

クランプ式のように固定する必要がないため、デスクの好きな場所にすぐ設置できる。

広いデスク環境に適している

適度な高さのあるモデルなら、デスク全体を均一に照らせるので、A3用紙や大型資料を広げる作業、設計図や図面作成などに向いている。

デスク以外の場所でも使いやすい

ベッドサイドや作業台、リビングテーブルなどでも利用可能。

クランプ式が使えないデスクでも問題なし

クランプ式のように取り付け条件(デスクの厚み・形状)を気にする必要がないため、どんなデスクにも対応可能。

スタンド式の注意点

台座部分のスペースを取るため、デスクが狭いと圧迫感がある。
角度調整の自由度がクランプ式より劣るため、光をピンポイントで調整しにくい。
高さが足りないと、手元だけを照らすことになり、全体を明るくできない場合がある。

どんな人にどちらが向いている?

クランプ式(アームライト)が向いている人

デスクのスペースを広く使いたい人
作業内容に応じて光の向きを調整したい人(プログラミング・デザイン・ライティング)
PCモニターと並行して使いたい人(デュアルモニター環境、ゲーミング環境)
長時間作業するので、目に優しい光の調整をしたい人

スタンド式デスクライトが向いている人

設置が簡単で、すぐに使いたい人
デスクだけでなく、ベッドサイドや作業台でも使いたい人
模型製作や読書、裁縫など、多用途に使いたい人
クランプ式が設置できないデスクを使っている人